映画「みな殺しの霊歌」(1968年松竹)
購入場所 amazon.co.jp
購入価格 1DVD¥2,000(定価¥2,940の32%OFF)
備 考 1968年松竹、初DVD化
監 督 加藤泰
構 成 山田洋次、加藤泰
脚 本 三村晴彦
音 楽 鏑木創
出 演 佐藤允、倍賞千恵子、松村達雄、応蘭芳、中原早苗、菅井きん、石井富子、太宰久雄、ザ・クーガーズ
この映画は当方が90年代に池袋の文芸座で観た映画でございます。
あまりにも重く後味が悪く、ある意味トラウマとなった映画です。
なのでDVD化となったときは、また観たいという衝動にかられました、観るのは通算で2度目です。
オープニングからいきなり応蘭芳を殺すシーンから始まります。
モノクロでありながらその殺し方に目をそむきたくなります。
殺人犯役である佐藤允は次々と5人の有閑マダムを殺害します。
クリーニングものを引き渡しに来た北海道から上京した純朴な16歳の少年が強引に部屋に引きづりこまれ、その部屋でブルーフィルム(今で言うAVですな)を鑑賞していた5人の有閑マダムに強姦されてしまったのです。
それにショックを受けた少年は翌日、そのマンションの屋上から飛び降り自殺をしてしまい、それを知ったマンションの隣の建設現場で知り合った同郷の佐藤允の復讐劇が始まるのです。
5人の女が1人の少年を犯す、それだけで今は脚本却下されてしまうでしょう。それが人情劇の多い松竹で製作されたことが驚きです。
監督は東宝の加藤泰、時代劇が多い監督でしたが、この松竹では珍しい現代劇を撮ったんですね。主演の佐藤允は東宝所属で松竹映画初出演です。
話が進むにつれ全体的にダウナーな気分に追いやられます。徐々に追い詰められる女たち。菅井きんだけ殺されるシーンは無いのですが、菅井きんの遺体写真の顔が5人の中でかなり悲惨なんです。
本当に殴り殺されたような写真で目をそむけたくなりますね。
この復讐劇と並行して佐藤允と倍賞千恵子の恋愛話もあるのですが、これまた倍賞が演じる女性の過去が可哀そうで可哀そうで・・・。
その倍賞の前では表情が優しくなる佐藤允が切ない。警察に追い詰められた佐藤允の最期は・・・。
愚連隊シリーズや国際秘密シリーズ、はたまた地獄拳の佐藤允のイメージが強いので今回の役どころには驚き。
ある意味、幅広く演技が出来る俳優でもある証拠だよね。殺人犯の凶悪な表情と倍賞千恵子に対する優しい表情のギャップに驚きます。
ちなみにこの映画には当時のGSグループ、クーガーズが一瞬出演します。最後のほうの、ゴーゴー喫茶でのファズな演奏もクーガーズなのかな?
クーガーズ目当てに買ったDVDでもありますかね。
また一瞬、気分が和らぐタコ社長こと太宰久雄の出演シーンはホッとします。この和らぎ感は松竹ですよね。